自分の時間に学校を出たいのに、
集団下校があるから決まった時間に出ないと行けない。
自分の家に帰るのだから、遅刻することないのに…
しかも、僕の家が一番遠いから、最後は結局ひとりで家に帰る。
集団下校が嫌いな理由がもう1つある。
最初に点呼をとるが、いる人数より1人少なくなる。
7人なのに、いつも決まって最後の人は「6」と叫ぶ。
なのに、誰も不思議な顔をせずに家に向かう。
だから僕はいつも、僕にしか見えていない人がいるんだと思っている。
みんなにとっては透明人間、僕にとってはただの人間。
でもそれが誰だかわからない。
気になりだすと止まらない。毎日の集団下校が待ちどうしくなってきた。
だれが透明人間なのか疑いながら、観察すると人の動きがおもしろく見える。
犯人探しは見えないものが汚くも綺麗にも見える。
…もう15日もたったが、透明人間がだれかはわからない。
今日の集団下校はひとつも見逃さないぞ 。
点呼がはじまる…ひとりひとり番号を言う
あれれ、みんな番号を言っている…
番号を間違っている人もいない。
みんないつも通り、お決まりの話相手と喋りだす。
番号を言っていない人は?…そうか、透明人間は僕なのか。