小学生のころ、赤とんぼの背中に乗って夕焼けの空を飛ぶ絵を描いた。
担任の先生はその絵を気に入って、クラスの代表として、その絵を選んでくれ、美術館で飾られた。
私にとってその出来事は絵を描く人生の中で一番印象に残っている。

子供の頃は言葉をあまり知らないから、出来事を印象やイメージで記憶するらしい。
印象やイメージの記憶は、言葉の記憶に比べて忘れやすいものとなる。
それでもわたしは言葉で残す記憶より、印象やイメージで残す記憶の方が良いように感じる。

ある日、モノをなくした。なくしたモノを探すとき、知らないうちに独り言がでていた。

モノをなくした時、人は不安状態になる。その状態になると脳は子供に戻るらしい。
脳が子供に戻ると、独り言が出る。そのなくしたモノになんども呼びかけてしまう。
独り言は脳を活性化させる。そうすれば、探しモノが見つかる可能性が上がるからだ。

脳が子供に戻り、独り言を言うように、私は絵を描きながら何かを探しているのかもしれない。
その何かは消えていった印象やイメージの記憶なのかもしれない。
そして、この探す(描く)行為から生まれた新しいイメージを多くの人に見せ、リアクションを求めてしまう。
それは、小学生のころに描いた赤とんぼの絵を、担任の先生が喜んでくれた時ような出来事を求めているからなのだろう。